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100記事添削して気づいた読みやすい文章にする推敲のコツ

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100記事添削して気づいた読みやすい文章にする推敲のコツ

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はじめに

「違和感のある表現が多く、読みづらい文章でした」

低評価に加えて、辛辣なコメントを書くクライアント。自分の実力の低さに、胸が痛みます。

「初心者向けに分かりやすく」と言われて丁寧に説明するけれど、これがまた分かりづらい。説明しているうちに、誰に向けて書いているのか分からなくなる。

画面の向こう側にいるクライアントから「冗長な表現は控えてください」とコメントが届きました。

「冗長な表現」

言われて読み返してみると、僕の文章には「まわりくどい言い回し」や「リズム感のない言葉づかい」が多い。

言いたいことは、なんとなく分かる。しかし、どの文章も歯切れが悪く、読みながらもどかしくなるものばかり。

これじゃあ〝自称ライター〟と揶揄されても仕方ない……。

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これは今から4年前(2019年)に、僕がクラウドソーシングサイトで初案件を受注したときの体験談です。ライターの仕事は書くことであり、細かい修正をするのは編集者の仕事だと勘違いしていました。

個人ブログのような主観的な文章は評価されない。

日記のように、書きたいことを書いてはならない。

客観的な視点から、初心者でも理解できるように伝えるには、どうしたらいいのか? 細かく決められた執筆マニュアルと制限された文字数のなかで、伝えたいことを相手に正確に届けるためには、何をどう書けばいいのか?

ライターに求められているのは「分かりやすい表現で、情報を過不足なく伝えられる力」です。

しかし、一発目で100点満点の記事を書くのは難しい。だからこそ、じっくりと時間をかけて推敲しなければならないのです。

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僕はこれまでに、自分のブログや企業のWebメディアにて数百記事を執筆してきました。あちこちに散らばっている情報を綺麗に整理して、読者へ届ける仕事です。

さらに、一端の編集者として数十人のライターに発注していた時期もあります。身銭を切って外注したことで、発注者側のリアルな心境を経験することもできました。

自分で記事を書くときも、他人の記事を添削するときも、伝えたい情報を誤解のないように届けることが求められます。

失敗も多く、挫折しかけたこともゼロではありません。

それだけに、多くのライターが抱える「思うように書けない!」と逃げ出したくなる気持ちもよく分かります。

・難解なテーマでも分かりやすく伝えられる

・それを実現するための推敲力を身につける

駆け出しライターのために、そんな教材をつくろう思いました。

これまでにも、文章術に関する本はたくさん出ています。しかしその多くは「人を動かす」「収益を上げる」ことを目的にした結果、読みづらい文章になっています。

理論的には正しいけれど、最後まで読んでもらえない。

成果を上げるためには、心理学やセールスの知識も必要です。しかし、読者を不快にさせてしまっては、せっかく書いた文章も読んでもらえません。

僕たちが目指したいのは、スラスラと読み進められる違和感のない文章です。あたかも最初からそこにあったかのような、自然な形の文章を書きたい。その領域まで到達するには、何度も推敲を重ねる必要があります。

本教材では、推敲する際のポイントを押さえ、同じ内容でも格段に分かりやすい文章にするための具体的な方法を紹介します。ぜひ、毎日の生活の中で活用してください。

「なるほどね」「これは使えそう」と感じたところから読みはじめていただいて結構です。うまくいかなかったら、違う方法にチャレンジしてみてください。

この教材に書いたノウハウを実践すれば、あなたにも端的で読みやすい文章が書けるようになります。

読者が「分かりやすい」と膝を打つ、読みやすくて無駄のない文章を一緒に考えていきましょう。


第1章 推敲の精度を高めるための下書きのコツ3つ

具体的な推敲の話に入る前に、下書きのコツを3つ紹介します。

下書き段階からちょっとした工夫をするだけで、推敲に対する心理的ハードルはグッと下がります。

いずれも簡単なことなので、ぜひ今日から実践してみてください。


下書きのコツ1|1文ごとに改行する

1文ごとに改行すると、文章の長さを視覚的に把握できます。改行せずに書いていくと長すぎる文章が埋もれてしまい、うっかり見落とすリスクもあります。

細かく改行することで、文章を切り貼りしたり余計な部分を削ったり、後から調整しやすいのもメリットの1つです。

推敲の精度を高めるためにも、下書き段階では1文ごとに改行するクセをつけましょう。


下書きのコツ2|文字装飾しない

下書きでは、文字装飾は不要です。最初から「見た目」にこだわると余計なところで手が止まり、いつまでたっても下書きが進みません。

見た目だけ取り繕って中身はイマイチな文章だと、せっかく興味を持ってくれた読者を失望させてしまいます。

文字装飾は、最後の仕上げの作業です。推敲を重ねて文章が完成してから行いましょう。


下書きのコツ3|最後まで書き切る

下書きするときに意識したいのが、「とりあえず最後まで書き切る」ことです。

まずは粗削りでもいいから、なるべく時間をかけずに形にする。

この姿勢が大事です。

プロのライターであれ有名作家であれ、最初から完璧な文章を書ける人なんて存在しません。何度も推敲を重ねて徐々にブラッシュアップした結果、素晴らしい作品が完成するのです。

少しくらい不自然な文章でも、あとで直せば問題なし。推敲にかける時間を増やすためにも、下書きする際は一気に最後まで書き切りましょう。


第2章 マイナスをゼロにする推敲の仕方【30のポイント】

推敲には大きく分けて2つの目的があります。

・読みやすい文章にすること

・内容を充実させること

この2つを意識して推敲するのが理想ですが、それは簡単なことではありません。正しい順番で推敲しないと、どちらも中途半端になり文章の質にムラが生じてしまいます。

慣れないうちは目的を1つに絞り、2回に分けて推敲しましょう。まずは言葉づかいを正して読みやすい文章にすることから。マイナスをゼロにするための、30の推敲の仕方を紹介します。


1|重複表現を避ける

重複表現とは、同じ意味の語が連なった表現のこと。具体例をあげると次のような表現です。

【重複表現の例】

・およそ○○ほど

・約○○程度

・各○○ごと

・まず最初に

・過半数を越した

・突然の急停止

・いまだに未解決

・あとで後悔する

・返事を返す

・断トツトップ

普段の会話で何気なく使われている表現も多いため、意識しないと見落としがちな間違いです。推敲する際は、意味の似通った言葉が重なっていないか確認しましょう。


2|こそあど言葉を多用しない

Web媒体の場合、こそあど言葉は読み飛ばされる傾向にあります。というのも、画面をスクロールする流し読みが基本になり、読者は読みたい部分だけ「つまみ読み」するケースが多いためです。

「これは〜」「あれは〜」を多用すると、読者の理解を妨げる原因になります。こそあど言葉ではなく、代替になる言葉を使うように意識しましょう。


3|語尾の連続は2回まで

「〜です。〜です。〜です。」「〜ます。〜ます。〜ます。」と、同じ語尾が3回以上続くと、読者に単調な印象を与えます。語尾の連続を避けるためにも、文末表現のレパートリーを増やしましょう。

【よく使う文末表現のレパートリー】

・〜です

・〜ます

・〜でしょう

・〜ましょう

・〜でした

・〜ました

・〜ください

・〜ません

文末表現にバリエーションを持たせると、グッと読みやすくなりますよ。


4|1文は80文字以内におさめる

文章が長くなると主旨がブレやすくなり、読者を混乱させてしまいます。どこかで文章を区切るなどして、1文を80文字以内におさめましょう。

文章を短くする手順は次の通りです。

手順①:1文を2つに分ける

手順②:分けた文章を接続詞でつなぐ

1文を80文字以内におさめることで、読者の集中力が途切れるのを防げます。


【参考】
マイクロソフト社の調査によると、人間の集中力の持続時間は徐々に短くなっているとのこと。2000年の調査では12秒、2013年の調査では8秒という結果に。
(出典:Microsoft attention spans, Spring 2015 「We know human attention is dwindling」/https://dl.motamem.org/microsoft-attention-spans-research-report.pdf)

人間が1秒間に読めるのは10文字程度であるため、読者の集中力を持続させるには1文を80文字以内にする必要があるというわけです。


5|同じ文章構造を繰り返さない

「〜ため〜。〜ため〜。」「しかし〜。しかし〜。」と、同じ文章構造が繰り返されると、内容の因果関係が分かりづらくなります。次の例文は「〜ので、〜ました。」という構造が連続しているパターンです。

△:先週末は天気が悪かったので、家でじっとしていました。今週末は晴れそうなので、彼女と出かけることにしました

読んでいて、つたない印象が漂ってきませんか? 明確な意図がないのなら、違う表現を探したほうが読みやすくなります。

単語レベル・文節レベルでの重複は見抜けても、構造レベルになった途端に見逃す人が続出します。前後の文章を書き直したり言葉の順番を入れ替えたりして、文章構造に変化を持たせましょう。


6|段落レベルの重複に気をつける

すでに述べたことを繰り返すなど、段落レベルの重複にも注意しなければなりません。書くことに慣れてきて〝自分なりの型〟を持ちはじめた人が陥りやすいミスの1つです。

「言葉づかいを変えただけで、結局は同じような話ばかり」

このような文章が続くと読者に疲労感を与えてしまいます。

長文を推敲する際は、各段落の主張をひとことでまとめるクセをつけましょう。「結局何が言いたいの?」「要するにこういうこと?」と、問いかけながら読んでいくと主張をとらえやすくなります。慣れないうちは、見出しの横に主張を書き出すのもおすすめです。

文字数の割に同じようなことしか書いていないと「内容が薄っぺらい」という悪評にもつながります。同じ内容を繰り返している文章は、なるべく1つにまとめましょう。


7|主語と述語を近づける

主語は文頭に置くのが基本です。しかし、あまりにも主語と述語が離れている場合は、無理して文頭に置く必要はありません。

△:Aさんは、Bさんと会うのは3年ぶりだったので、少し緊張していた

○:Bさんと会うのは3年ぶりだったので、Aさんは少し緊張していた

後者のように、主語と述語を近づけたほうが読みやすくなります。


8|副詞の置き方

副詞とは、「ずっと」「ゆっくり」「きちんと」など、動詞・形容詞・形容動詞を修飾する言葉です。副詞を動詞・形容詞・形容動詞の近くに置くと、文意が伝わりやすくなります。

△:びっしりと今週末は予定が詰まっている

○:今週末は予定がびっしりと詰まっている

後者のように、副詞「びっしりと」を動詞「詰まっている」の直前に置くと、読んでいて違和感がありません。


9|長い修飾語は前に、短い修飾語は後に

修飾語を並べるときは「長いほうを前に、短いほうを後に」するのが基本です。

△:真っ赤な母の日にもらったカーネーション

○:母の日にもらった真っ赤なカーネーション

「真っ赤な」と「母の日にもらった」は、いずれも「カーネーション」を修飾する言葉です。短いほうを前に出すと「真っ赤な母の日」という誤読にもつながり、読者を混乱させてしまいます。

修飾語の順番については他にもルールがありますが、特に大事なのは次の3つです。

【修飾語の順番を決める3つの要素】

・長いものを前に、短いものを後ろに置く

・大きな状況は前に、個別の状況は後ろに置く

・「時をあらわす言葉」は前に出す

語順を入れ替えたら声に出して読んでみるのも忘れずに。


10|助詞「の」の連続は3回まで

助詞「の」が連続すると、文意が伝わりにくくなります。

△:去年の夏のインターハイの決勝戦のラスト5分の戦いは、いまでも忘れられない。

○:昨年の夏に行われたインターハイ決勝戦。ラスト5分の戦いは、いまでも忘れられない。

助詞「の」が連続すると、稚拙でまわりくどい印象になります。違う言葉に置き換えたり文章を区切ったりして、なるべくスッキリさせましょう。


11|等位接続詞の使用上の注意

等位接続詞とは、複数の要素を並列させるときに使う接続詞です。それぞれの要素は文法的に等しいものである必要があります。

【主な等位接続詞】

・AとB

・AやB

・AかB

・AもBも

・AまたはB

等位接続詞を使う場合、前後の言葉は並列の関係にしなければなりません。「(名詞)と(動詞)」という使い方は基本的にNGです。

(例)

・算数と走るのが苦手 → 算数と体育が苦手

・パスタや和食が好き → パスタや寿司が好き

・犬か鳥類を飼いたい → 犬かインコを飼いたい

・リンゴも柑橘類も食べたい → リンゴもミカンも食べたい

・黒またはネオンカラーがおすすめ → 黒または白がおすすめ

等位接続詞を使うときは、並列の関係を意識しましょう。


12|補助動詞は「ひらがな」にする

動詞が本来の意味を失って「付属的な意味を添えるもの」として用いられるとき、その動詞を「補助動詞」と呼びます。補助動詞は、ひらがな表記にするのが一般的です。

(例)

・試して見る → 試してみる

・暗くなって来た → 暗くなってきた

・そうかも知れない → そうかもしれない

・フリーランスと言う働き方 → フリーランスという働き方

補助動詞をひらがな表記にすると、視覚的にスッキリするというメリットもあります。


13|形式名詞は原則「ひらがな」

形式名詞とは「もともとの意味が薄れた名詞」のことで、他の語に修飾されて使われます。

(例)

・おいしいものを食べるときが一番幸せ

・昨日のことについて話し合っているところ

例文では、「もの」「とき」「こと」「ところ」が形式名詞にあたります。

形式名詞を漢字にすると、堅苦しくて違和感のある文章になりかねません。原則として、形式名詞はひらがな表記と覚えておきましょう。


14|二重敬語に注意する

次のような二重敬語は、正しい敬語表現に直しましょう。

(例)

・お○○になられる → お○○になる

・ご○○させていただく → ご○○します

・拝見させていただきます → 拝見します

・頂戴させていただきます → 頂戴します

前者は同じ種類の敬語が重ねて使われているため誤りです。

なぜ、二重敬語はダメなのか? これにはいくつか理由があります。

【二重敬語がダメな理由】

・現代の日本語として間違いであるため、マナー違反だと思われる

・あまりにも丁寧すぎる表現は、逆に見下している印象になる

読者に失礼がないようにと考えすぎるあまり、やってしまいがちなミスの1つです。過剰に相手を敬うのではなく、「丁寧に語りかける」くらいの意識で書きましょう。


15|二重否定を多用しない

二重否定よりも肯定にするほうが読みやすくなります。

(例)

・話さずにはいられない → うっかり話してしまう

・誰もいなかったわけではない → 何人かいた

前者よりも後者のほうがスッキリしていて文意も明確。

もちろん、「二重否定を絶対に使うな」というわけではありません。文脈によっては二重否定のほうがしっくりくる場合もあるでしょう。「二重否定の使いすぎに注意する」くらいの認識でOKです。


16|読点「、」の打ち方

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